リビングのソファで、健診の結果の紙とスマートフォンを見比べる母親と、隣で絵本を読む男の子。

斜視とは?内斜視・外斜視・上下斜視など、種類と名前の読み方

斜視について、症状・相談先・治療の選択肢・費用や手続きを一般向けに整理したコラムです。

健診や診察で「外斜視ですね」「間欠性(かんけつせい)と言われた」など、斜視の名前を告げられて、どういう意味なのか、何と読むのかを調べている方もいらっしゃると思います。斜視は、右目と左目の視線がそろわず、別の方向を向いている状態のことです。この記事では、斜視の意味と、名前がどのような見方の組み合わせでつけられているかを整理し、主な名前の読み方を一覧にまとめます。

  • 斜視は、右目と左目の視線が、違う場所に向いている状態です。
  • 斜視の名前は「どちらの向きにずれるか」「いつもずれているか、ときどきか」「いつ・どのように始まったか」「見る方向によるずれの変わり方や、目を動かす神経の働き」など、いくつかの見方を組み合わせてつけられます。
  • どの種類の斜視かは、目の位置や動きを調べる検査をもとに、診察で判断されます。

斜視とは(右目と左目の視線がそろわない状態)

ふだん、視線は両目とも同じ場所に向かってそろっています。斜視(しゃし)では、片方の目が見たいものに向いていても、もう片方の目が内側・外側・上下など別の方向を向いています。

両目の視線がそろっている状態(正位)との違い

両目の視線がそろって、同じものを見ている状態を正位(せいい)といいます。目の位置のことを眼位(がんい)と呼び、斜視は、この眼位がそろっていない状態の一つです。

斜視があると起こりうること

両目の視線がずれていると、物が二重に見えること(複視〔ふくし〕)があります。お子さんでは、ずれている目からの情報を脳が使わないようにすることがあり、両目で見る力(両眼視機能〔りょうがんしきのう〕)が育ちにくくなったり、ずれている目の視力が育ちにくくなったり(弱視〔じゃくし〕)することがあります。本人にどう見えているかは斜視の見え方、本人にはどう見えている?で、弱視との関係は斜視と弱視は別のもの。関係と、視力が育つ時期の目安で整理しています。

斜視の名前は、いくつかの見方の組み合わせでつく

「間欠性外斜視」「乳児内斜視」のように、斜視の名前は長くなることがあります。これは、いくつかの見方を組み合わせて名前がつけられているためです。主な見方は次の4つです。

見方 名前の例
どちらの向きにずれるか 外斜視・内斜視・上下斜視・回旋斜視
ずれがいつも出ているか、ときどきか 恒常性・間欠性(ずれが隠れている状態は斜位)
いつ・どのように始まったか 乳児内斜視・後天性内斜視(急性内斜視を含む) など
見る方向によるずれの変わり方・目を動かす神経の働き 共同性斜視・麻痺性斜視

たとえば「間欠性外斜視」は、「ときどき出る(間欠性)」と「外側にずれる(外斜視)」を組み合わせた名前です。種類の判定は、目の位置や動きを調べる検査をもとに診察で行われます。

斜視の名前のつき方を示す図。ずれる向き、ずれの出方、始まった時期・始まり方、見る方向・神経の働きの4つの見方があり、たとえば『間欠性』と『外斜視』を組み合わせると『間欠性外斜視』という名前になる。
斜視の名前は、いくつかの見方を組み合わせてつけられます(例:間欠性+外斜視=間欠性外斜視)。

ずれる向きで分ける

いちばん基本になるのは、視線がどちらの向きにずれているかによる分け方です。

外斜視(がいしゃし)

どちらかの目の視線が、外側(耳側)に向いている状態です。日本では、斜視の中でいちばん多い種類です。

内斜視(ないしゃし)

どちらかの目の視線が、内側(鼻側)に向いている状態です。

上下斜視(じょうげしゃし)

どちらかの目の視線が、上か下にずれている状態です。ねじれや左右のずれと一緒にみられることが多いとされています。お子さんでは首をいつも同じ方向に傾けることで気づかれることがあり、大人では物が二重に見えることが主な症状になります。

回旋斜視(かいせんしゃし)

目の前後を通る線を軸にして、眼が回転してずれている状態です。上下斜視と一緒にみられることがあります。

両目を正面から描いた模式図5つ。両目の黒目が真ん中にある図と、片方の目の黒目が外側・内側・上にずれた図、片方の目が回転してずれた様子を点線で示した図を並べている。
ずれる向きによる分け方の例。上下斜視は上にずれた例で、回旋斜視の点線は眼の回転のイメージです。

ずれの出方で分ける

間欠性(かんけつせい)と恒常性(こうじょうせい)

目のずれが、出るときと出ないときがある場合を間欠性、いつもずれている場合を恒常性といいます。たとえば間欠性外斜視は、疲れているとき、起きた直後、明るい戸外などで、ずれが出やすくなります。間欠性外斜視については、間欠性外斜視とは。子どもの経過の見方と治療の選択肢で詳しく整理しています。

片方の目がいつも外側にずれている子どもの顔と、ずれているときとそろっているときの2つの顔を並べた図
いつもずれている(恒常性)と、出るときと出ないときがある(間欠性)。

斜位(しゃい)

ふだんは両目とも同じ場所を見ているのに、片目ずつ隠して調べると視線がずれている状態を斜位といいます。ずれが隠れていて、ふだんは表に出ていない状態です。わずかな斜位は、ほとんどの人にみられます。斜視か斜位かは、片目を隠して目の動きを見る検査(遮閉試験〔しゃへいしけん〕)などで確かめます。

始まった時期や、見る方向・神経の働きで分ける

ここでは名前と意味だけを紹介します。

乳児内斜視・調節性内斜視・急性内斜視

  • 乳児内斜視(にゅうじないしゃし):生後6か月以内に始まる内斜視です。先天内斜視とも呼ばれます。
  • 調節性内斜視(ちょうせつせいないしゃし):遠視があり、ピントを合わせる働き(調節)が強く働くことで起こる内斜視です。遠視の眼鏡をかけると、ずれが小さくなります。
  • 急性内斜視(きゅうせいないしゃし):成長してから起こる内斜視(後天性内斜視)の一つで、突然発症するものです。大人では物が二重に見えることがあります。ほかの病気が隠れている場合があるため、必要に応じてMRIなどで原因を調べます。

スマートフォンなどデジタル機器の使用との関係が調べられている「後天共同性内斜視(こうてんきょうどうせいないしゃし)」は、生後6か月以降に始まる内斜視(後天性内斜視)のうち、どの方向を見てもずれの大きさがほぼ同じものを指します。日本弱視斜視学会などは、近くを見る作業をするときの距離や休憩の取り方について提言を出しています(参考にした資料を参照)。

共同性斜視と麻痺性斜視

麻痺性斜視(まひせいしゃし)は、目を動かす神経の働きが弱くなって起こる斜視です。麻痺した筋肉が働く方向を見たときに、ずれがいちばん大きくなるのが特徴です。大人では、急に物が二重に見えるようになることで気づかれることが多い斜視です。急に物が二重に見えるようになったときは、原因となる病気が隠れていることがあるため、すぐに眼科を受診するよう呼びかけられています。

これに対して、どの方向を見ても、ずれの大きさがほぼ変わらない斜視を、共同性斜視(きょうどうせいしゃし)と呼びます。

見かけだけの斜視(偽斜視)

実際には両目の視線がそろっているのに、斜視のように見える状態を偽斜視(ぎしゃし)といいます。赤ちゃんでは、目頭の皮膚が内側の白目を隠して、目が内側に寄っているように見えることがよくあります。本当の斜視との区別は難しいこともあり、片目を隠す検査などで確かめます。赤ちゃんの偽斜視と写真での見え方は、赤ちゃんの斜視はいつから?写真での見分け方と偽斜視で整理しています。

特殊な型の斜視

ずれる向きや出方とは別に、原因や目の動きの特徴から、特別な名前で呼ばれる斜視もあります。目を動かす神経のつながり方や筋肉の伸び方に特徴があるものには、デュアン症候群・ブラウン症候群があります。ほかの病気やけがにともなって起こるものには、甲状腺眼症(こうじょうせんがんしょう)・重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)・眼窩吹き抜け骨折(がんかふきぬけこっせつ)があります。主に強い近視のある高齢の方で、目が内側の下の方に寄ったまま動かなくなるものは固定斜視(こていしゃし)、目の病気などで視力が大きく下がり、両目で見る働きが保てなくなって目の位置がずれるものは感覚性斜視(かんかくせいしゃし)と呼ばれます。いずれも、診察で原因や状態を確かめながら対応が考えられます。

主な斜視の名前と読み方の一覧表

名前 読み方 ひとことで言うと
斜視 しゃし 右目と左目の視線が、違う場所に向いている状態
外斜視 がいしゃし 視線が外側(耳側)にずれる
内斜視 ないしゃし 視線が内側(鼻側)にずれる
上下斜視 じょうげしゃし 視線が上か下にずれる
回旋斜視 かいせんしゃし 眼が回転してずれた位置になる
間欠性 かんけつせい ずれが出るときと出ないときがある
恒常性 こうじょうせい いつもずれている
斜位 しゃい ふだんはそろっているが、片目ずつ隠して調べるとずれる
乳児内斜視 にゅうじないしゃし 生後6か月以内に始まる内斜視
調節性内斜視 ちょうせつせいないしゃし 遠視が関係する内斜視
急性内斜視 きゅうせいないしゃし 成長してから急に起こる内斜視
麻痺性斜視 まひせいしゃし 目を動かす神経の働きが弱くなって起こる
共同性斜視 きょうどうせいしゃし どの方向を見ても、ずれの大きさがほぼ変わらない
偽斜視 ぎしゃし 視線はそろっているが、斜視のように見える

ここにない言葉や、検査・治療の言葉は、用語集で調べられます。

診察のときに伝えると話が進みやすいこと

  1. ずれに気づいた時期:いつごろから、どのようなきっかけで気づいたか
  2. ずれる向きと出方:内側・外側・上下のどちらか、いつもか、疲れたときや眠いときだけか
  3. 見え方の変化:物が二重に見える、片目をつぶる、首を傾けるなど
  4. これまでに言われた名前:健診や以前の診察で告げられた斜視の名前があれば、そのまま伝える
  5. 写真や動画:ずれが出ているときの写真があると、ときどき出るずれを伝える助けになります

この調査に回答した施設の一覧があります。回答していない施設にも斜視を診ている医療機関はあり、一覧は推薦ではありません。お住まいの地域の一覧はこちら(すべての医療機関は、厚生労働省の医療情報ネット(ナビイ)でも探せます)

よくある質問

日本ではどの種類の斜視が多いのですか

2009年から2020年までの日本の全国の診療データを使った研究では、外斜視・内斜視・上下や回旋の斜視に分けられた人のうち、外斜視が67.3%、内斜視が26.0%、上下・回旋の斜視が6.7%でした。研究の内容は、論文コーナーの日本における年齢層別の斜視の有病率と発症率で紹介しています。

斜視の治し方にはどのようなものがありますか

斜視の治療には、眼鏡、プリズム眼鏡、視能訓練、ボツリヌス毒素の注射、手術などがあります。どれが検討されるかは、斜視の種類やずれの大きさによって変わります。それぞれの方法は、斜視の治し方は?治療法一覧:眼鏡・プリズム・訓練・注射・手術で整理しています。

大人になってから斜視になることはありますか

あります。子どものころからあった軽い斜視が大人になってから強くなることや、目を動かす神経や筋肉の病気によって起こることがあります。大人の斜視の見た目と見え方については、大人の斜視、見た目と見え方の両方をどう考えるかで整理しています。

参考にした資料

この調査結果の前提と注記

斜視手術件数 全国調査(2023–2025)/調査結果と施設の一覧。掲載内容は予告なく更新される場合があります。最終更新日:2026年11月4日

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