よく晴れた公園で、男の子がまぶしそうに片目をつぶって立ち、しゃがんだ母親が見上げている

間欠性外斜視とは。子どもの経過の見方と治療の選択肢

斜視について、症状・相談先・治療の選択肢・費用や手続きを一般向けに整理したコラムです。

ふだんはまっすぐなのに、ぼんやりしているときや外に出たときだけ、片方の目が外を向く。「間欠性外斜視」と言われたあと、家で何かできることはあるのか、治し方はあるのか、いつ治療を考えるのか。この記事では、家庭で見ておけることと、検討される選択肢を整理します。

  • 間欠性外斜視は、疲れや眠気、まぶしさで外斜視が出やすくなります。
  • 出るときと出ないときがあるため、家庭の記録が診察の材料になります。
  • 「トレーニング」には、医療機関で行うものと民間のものがあります。

間欠性外斜視とは(ときどき片目が外を向く斜視)

外斜視は、右目か左目のどちらかの視線が外側に向いている状態です。いつもずれている恒常性と、出るときと出ないときがある間欠性に分かれ、間欠性外斜視は後者にあたります。

出るときと出ないときがあるため、ずれの大きさに加えて、「どのくらいの頻度で、どんなときに出るか」が状態を見るうえでの手がかりになります。

出やすい場面(疲れ・眠気・まぶしさ)

間欠性外斜視では疲れやすく、体調が悪いときや眠い時に外斜視が出現します。疲れている時、起床直後、明るい戸外でも起こりやすくなります。

出るときと出ないときがあるため、ご家庭では毎日見えていた様子が、診察のときにはたまたま出ていないこともあります。

片目をつぶる場面

まぶしいと両目を合わせにくくなるため、屋外で片目をつぶりやすくなります。

小児では、ずれた方の目で見ている像を感じないようにする抑制(よくせい)が起こるため、二つに見えるとは訴えないことが多くなります。また、両眼視機能(りょうがんしきのう=両目で見て立体感や奥行き感を感じ取る働き)が低下すると、ボール遊びや平均台などが苦手になります。

同じ男の子の三つの場面。起きたばかりのとき、まぶしい屋外で片目をつぶるところ、夕方に疲れた様子を横に並べた図
起床直後、まぶしい屋外、夕方や疲れているときは、間欠性外斜視が出やすい場面として挙げられています。

家庭で気をつけて見ておきたいこと

家庭でできるのは、状態を変えることではなく、状態を見えるようにしておくことです。間欠性という性質上、この記録そのものが診察で使われる情報になります。

外を向く頻度と時間帯の記録

いつ、どんな場面で外を向いていたかを、短くメモしておきます。起床直後か、夕方か、屋外か、テレビを見ているときか。1日に何回くらい気づくか。前と比べて増えた感じがあるか。

細かく取る必要はなく、気づいた日に一行ずつで十分です。数か月分がたまると、頻度が変わってきているかどうかが見えるようになります。

写真で残しておく

ずれが出ている瞬間の写真は、言葉での説明を補います。正面から、できれば時期ごとに数枚。動画のほうが撮りやすければ、そちらでもかまいません。診察のときに出ていなくても、家庭でどう見えていたかを伝える材料になります。ただし写真は経過を伝えるためのもので、判定は診察で行われます。

居間の壁のカレンダーに時間帯の印がつき、その横で母親がスマートフォンで子どもの様子を撮り、父親が横から見ている図
家庭での記録のしかた。いつ・どのくらい続いたかを書き留め、写真で残しておくと、診察で伝える材料になります。

「トレーニング」と呼ばれるものの中身

「間欠性外斜視 トレーニング」で調べると、いくつも異なるものが同じ言葉で並びます。中身が違うので、まず分けて考えると混乱が減ります。

医療機関で行う視能訓練

視能訓練は、視能訓練士(しのうくんれんし=目の検査と、小児の弱視・斜視の視能矯正を担当する国家資格の専門職)が関わって行われるものです。外斜視では、偏位量が小さい場合に、プリズムという光学的療法や、両眼視機能の働きを強化する視能訓練が行われます。

内容は検査の結果に基づいて決まり、経過を見ながら調整されます。「誰にでも同じ訓練がある」という形ではありません。

家庭で行う課題がある場合

医療機関から、家で続ける課題が出ることがあります。この場合も、何をどのくらい行うかは検査の結果に基づいて決められたものです。自己判断で回数を増やしたり、別の方法に置き換えたりするものではなく、次の受診で経過を確かめながら進めることになります。

民間の「視力トレーニング」との区別

眼鏡店や民間のサービス、市販の教材やアプリで案内されているトレーニングは、医療機関の検査と治療とは別のものです。ここではその中身の良し悪しを評価しませんが、間欠性外斜視の状態を確かめる場としては、検査を伴う診察が前提になる、という区別だけは押さえておくと迷いにくくなります。

三枚の札を横に並べ、病院の検査室と視能訓練士、自宅の机で課題に取り組む親子、民間のトレーニングの案内を示した図
「トレーニング」は3つに分けて考える。医療機関で行う視能訓練、医師の指示で家庭で行う課題、民間の視力トレーニング(医療とは別)です。

検討される方法と、ずれの大きさ

外斜視の治療方法として挙げられているのは、視能訓練、プリズム眼鏡、斜視手術です。どれを考えるかは、ずれの大きさ(偏位量)によって分かれます。

  • 偏位量が小さい場合:プリズムという光学的療法や、両眼視機能の働きを強化する視能訓練が行われます
  • 偏位量が大きい場合:斜視手術が行われます

手術については、もどり(術後に再び外斜視となること)が出現する場合がしばしばみられるため、手術時期を含めた慎重な検討が必要とされています。すぐに決めるものではなく、経過を追いながら考える形になります。

なお、近視側に度数を強めた眼鏡(過矯正眼鏡)を用いた米国の臨床試験があります。3歳から10歳の子どもを対象にした追跡調査では、1年間の過矯正眼鏡による治療を受けた群で、3年後の屈折の変化(近視側への変化)が-0.74ジオプター、受けなかった群で-0.44ジオプターでした。1ジオプターを超える近視化は前者で26.8%、後者で15%です。著者らは、過矯正眼鏡による治療を検討する際には、この近視化のリスクを保護者と話し合うべきだと述べています。

治療を比べた研究は何を報告しているか

間欠性外斜視への治療をまとめた系統的レビュー(6件の研究、890人。多くは12か月から10歳の子ども)では、アイパッチ(片目を隠す方法)と経過観察を比べた2件を統合した結果として、6か月後の近見と遠見の目の位置についてアイパッチのほうが臨床的に良好だったとする確かさの高い根拠が示されています。一方、近見の立体視についてはほとんど差がないという確かさの低い根拠でした。手術の術式どうしの比較は、根拠が不十分で判断できないとされています。

手術以外の方法を比べたネットワークメタ解析(11件の研究、1,411人)では4つの方法が扱われました。この種の解析で示される順位は、治療法の優劣を示すものとしては扱いません。そのため、このページでは順位そのものを紹介していません。研究のなかでは、4つの方法はいずれも近見の立体視には有意な影響を与えなかったと述べられ、著者らは重症度や特性、費用を踏まえて個別に方針を組み立てるべきだとしています。

家族に同じ斜視がある場合に知られていること

「自分もそうだったから」と話される保護者の方がいます。斜視の子どもの親を調べた研究(2,164人が登録され、うち481人が検査を受けた)では、検査を受けた母親の50.2%、父親の60.1%に目の動きや両眼視の所見が見られました。斜視と診断されたのは母親の22.4%、父親の28.1%です。ずれの型は親子で一致することが多かったと報告されています。比較のために調べられた、視覚の訴えのない8歳以上の子ども208人では、立体視が基準より低かったのは14.9%でした。

著者らは、斜視が家族内に集まりやすいことと、立体視の低下が斜視の目立たない形である可能性を挙げています。これは斜視の子どもの親を調べた研究の結果で、遺伝の仕組みを確かめたものではありません。家族に同じような目のずれがある場合、その情報は診察で伝えておくと状況が伝わりやすくなります。

診察のときに伝えると話が進みやすいこと

間欠性外斜視は、診察室で出ていないことがあります。だからこそ、家庭側の情報が意味をもちます。

  1. 出る頻度と場面:1日にどのくらい気づくか、出やすい時間帯と状況(起床直後、夕方、屋外、テレビ、疲れたとき)。前回の受診時と比べて増えた感じがあるか
  2. 写真や動画:ずれが出ている瞬間を正面から。時期ごとに数枚あると経過が伝わります
  3. 生活のなかで困っている場面:屋外で片目をつぶる、ボール遊びや平均台が苦手、本を読み続けにくい、板書に時間がかかる。本人が言葉にしにくい部分を補えます

家族に同じような目のずれがある場合や、家で続けている課題がある場合も、あわせて伝えておくと話が早くなります。

この調査に回答した施設の一覧があります。回答していない施設にも斜視を診ている医療機関はあり、一覧は推薦ではありません。お住まいの地域の一覧はこちら(すべての医療機関は、厚生労働省の医療情報ネット(ナビイ)でも探せます)

よくある質問

家庭でできるトレーニングはありますか

医療機関から、家で続ける課題が出ることがあります。その内容は検査の結果に基づいて決められたもので、次の受診で経過を確かめながら進めます。市販の教材やアプリ、眼鏡店などで案内されるトレーニングは、医療機関の検査と治療とは別のものです。

いつも外を向いているわけではないのに治療が要りますか

外斜視の治療方法として挙げられているのは、視能訓練、プリズム眼鏡、斜視手術です。偏位量が小さい場合はプリズムという光学的療法や視能訓練、大きい場合は斜視手術が行われます。何をいつ考えるかは、ずれの大きさや経過をもとに医療機関で相談することになります。

子どもが二重に見えると言わないのはなぜですか

小児では、ずれた方の目で見ている像を感じないようにする抑制が起こるためです。そのぶん二つに見えるという訴えは出にくくなりますが、両眼視機能が低下すると、ボール遊びや平均台などが苦手になることがあります。本人の訴えがないことと、両目が使えていることは別です。

親に斜視があると子どもにも出やすいのですか

斜視の子どもの親481人を調べた研究では、母親の22.4%、父親の28.1%が斜視と診断され、ずれの型は親子で一致することが多かったと報告されています。著者らは斜視が家族内に集まりやすいことを挙げています。これは斜視の子どもの親を調べた研究の結果で、遺伝の仕組みを確かめたものではありません。家族に同じような目のずれがある場合は、診察で伝えておくと状況が伝わりやすくなります。

参考にした資料

この調査結果の前提と注記

斜視手術件数 全国調査(2023–2025)/調査結果と施設の一覧。掲載内容は予告なく更新される場合があります。最終更新日:2026年11月4日

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