ランダム化比較試験(多施設・その後の追跡解析)

小児の間欠性外斜視に対するオーバーマイナス(過矯正)眼鏡治療と、その後の近視化(3年追跡)

Refractive Error Change and Overminus Lens Therapy for Childhood Intermittent Exotropia. JAMA Ophthalmol 2024

本ページは、斜視に関する学術論文の紹介です。

, , Chen AM、ほか/JAMA ophthalmology/2024年/PMID 38536764/DOI 10.1001/jamaophthalmol.2024.0276

要約

原文の要旨に書かれている範囲で、論文が述べている内容を独自の言葉でまとめたものです(原文の翻訳ではありません)。

目的

間欠性外斜視(ときどき目が外側にずれる斜視)の子どもに過矯正眼鏡(実際の度数より強いマイナスの度数を入れた眼鏡)を1年間使うと、近視方向への度数の変化が大きいことが先に報告されていたため、眼鏡をやめた後もその差が残るかを3年間で比べることを目的とした研究です。

方法

56施設で、3〜10歳の間欠性外斜視の子ども(屈折値が−6.00〜+1.00ジオプター)を、過矯正眼鏡(−2.50ジオプターを12か月、−1.25ジオプターを3か月、過矯正なしを3か月)と過矯正なしの眼鏡に無作為に割り付けた試験の参加者を、18か月の試験終了後に24か月・36か月まで追跡した延長研究です。18〜36か月の治療は担当医の判断に任され、主な評価項目は調節麻痺薬を使って測った屈折値の36か月時点の変化でした。

結果

386人のうち223人(57.8%)が追加の追跡に同意し(過矯正群196人中124人・過矯正なし群190人中99人)、205人が36か月の評価を終えました。36か月の屈折値の変化は過矯正群−0.74ジオプター、過矯正なし群−0.44ジオプター(調整後の差−0.36ジオプター、95%信頼区間−0.59〜−0.12)で、1ジオプターを超える近視化は過矯正群112人中30人(26.8%)、過矯正なし群91人中14人(15%)だったと報告しています。12か月から36か月までの変化は過矯正群−0.34ジオプター、過矯正なし群−0.36ジオプターでほぼ同じだったとしています。

結論

著者は、−2.50ジオプターの過矯正眼鏡を1年間使った後にみられた近視化の差は3年後も残っていた一方、眼鏡を弱めてやめた後の2年間の変化は両群で同程度だったと述べ、過矯正眼鏡を検討するときは近視化のリスクを保護者と話し合うべきだとしています。

注記(この研究の限界)

追跡に同意した人だけの解析です(元の試験の386人のうち223人)。海外の多施設で行われた試験で、眼鏡治療の進め方は日本の保険診療とは異なる場合があります。この研究は過矯正眼鏡を「使ってはいけない」とも「安全」とも示すものではなく、著者は保護者と話し合ったうえで検討することを勧めています。

用語の説明

過矯正眼鏡(オーバーマイナス眼鏡)
目のずれを抑えるねらいで、実際の度数より強いマイナスの度数を入れた眼鏡のことです。
ジオプター(D)
眼鏡やレンズの度数を表す単位で、マイナスの値が大きくなるほど近視が強いことを表します。
調節麻痺薬を使った屈折検査
目のピント調節を一時的に休ませる点眼薬を使い、正確な度数を測る検査のことです。

読むときの注意

このページは論文の内容を紹介するもので、研究の良し悪しを評価したものではありません。数字や結果は原文の要旨に書かれた範囲で紹介しており、個別の症状の診断や治療の判断は、診察を担当する医師にご相談ください。正確な内容は原文(PubMed/出版社ページ)でご確認ください。

この調査結果の前提と注記

斜視手術件数 全国調査(2023–2025)/調査結果と施設の一覧。掲載内容は予告なく更新される場合があります。最終更新日:2026年11月4日

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