論文コーナー

斜視について「確かな情報を知りたい」と思ったとき、学術論文は大切な手がかりのひとつです。このページでは、斜視に関する学術論文を、下記の公開された基準に基づいて選び、日本語のタイトルを添えてご紹介しています。

本ページは、斜視に関する学術論文の紹介です。

このページについて

  1. ここで紹介する研究は情報提供を目的としたものです。個別の診断・治療の判断は、必ず医師にご相談ください。
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  1. 掲載はテーマ別・新着順に並べています。
  2. 海外で行われた研究を含みます。日本の保険診療で受けられる治療や、国内で一般的に行われている方法とは異なる場合があります。
  3. 日本語のタイトルと3行の要約は、原文(英語)のアブストラクトの範囲で、論文が述べている内容を独自の言葉でまとめたものです(原文の翻訳ではありません)。内容の評価や順位づけはしません。正確な内容は、リンク先の原文をご確認ください。
  4. 掲載内容の誤りにお気づきの場合は、お問い合わせ窓口(運営ポリシーのページ)までご連絡ください。速やかに確認・訂正します。[最終更新:2026-09-02]

論文の選び方(掲載基準)

このページの論文は、次の5つの基準に従って選んでいます。基準1・2は機械で確認し、基準3以降は人の手で基準どおりに当てはめています(掲載の可否を、内容の善し悪しで判断することはありません)。

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  1. PubMed(MEDLINE)に収録された雑誌に掲載された論文であること
  2. 掲載時点で、PubMed上に取り下げ(撤回)の記録が確認されないこと——月に一度を目安に機械で再確認しています。ただしPubMedへの反映には時間差があるため、常に最新であることを保証するものではありません。訂正(Erratum等)の記録がある論文は、その旨を書き添えたうえで掲載することがあります
  3. 斜視について書かれた論文であること
  4. 研究の種類と発表年を、事実として書き添えること(優劣の順位づけはしません)
  5. 論文の内容を評価しないこと(「この論文はこう述べています」以上のことは書きません)

テーマ別の見出しは読みやすさのための目次であり、重要度や優劣を示すものではありません。

斜視はどれくらいあるのか(疫学・実態)

日本における年齢層別の斜視の有病率と発症率(全国のレセプトデータによる全国規模研究)

全国の診療データ解析(日本・約1億2,570万人分)

Prevalence and Incidence of Strabismus by Age Group in Japan: A Nationwide Population-Based Cohort Study. Am J Ophthalmol 2024

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 日本の公的医療保険の請求データ(約1億2,570万人分)で、斜視と診断された人の割合を調べた研究です。
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  • 2019年時点の有病率は2.154%で、学齢期と75歳以上の年代で高い二つの山があったと報告しています。
  • 内訳は外斜視67.3%、内斜視26.0%、上下・回旋方向の斜視6.7%だったとしています。

注記:診療報酬の請求記録に基づく集計のため、受診していない人は含まれていません。

世界および地域別に見た斜視の有病率(システマティックレビュー・メタ解析)

システマティックレビュー・メタ解析/2019年発表

Global and regional prevalence of strabismus: a comprehensive systematic review and meta-analysis. Strabismus 2019

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 世界各地で行われた研究56本(合計229,396人)をまとめ、斜視の割合を推計したレビューです。
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  • 統合した有病率は斜視全体1.93%、外斜視1.23%、内斜視0.77%と報告しています。
  • ただし研究どうしのばらつきが非常に大きく、地域や年齢で結果が異なるとしています。

注記:日本を含む各国の研究をまとめた推計で、日本国内の数値を示したものではありません。

斜視のある子どもの親における斜視・立体視低下の頻度(遺伝研究コホートでの検討)

前向きコホート研究(米国・保護者481人が検査を受診)

Prevalence of Strabismus and Decreased Stereopsis in Parents of Children with Strabismus. Ophthalmology 2026

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 斜視のある子どもの保護者481人(母親303人・父親178人)が眼の検査を受けた研究です。
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  • 母親の22.4%・父親の28.1%に斜視があり、立体視(両目で奥行きをとらえる力)の低下も多かったと報告しています。
  • 著者は、斜視には家族内で共通する傾向があるとみられる、と述べています。

注記:遺伝の研究に参加した家族が対象で、保護者と直接比較する対照群は置かれていません。米国(ボストン小児病院)の遺伝研究に登録した家族を対象とした研究です。

治療の選択肢を知る(手術以外を含む)

間欠性外斜視に対する治療介入(コクラン・システマティックレビュー)

コクラン・レビュー(複数の研究をまとめたもの)

Interventions for intermittent exotropia. Cochrane Database Syst Rev 2021

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 間欠性外斜視の治療を比べたランダム化比較試験6本(合計890人)をまとめたレビューです。
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  • 経過観察と比べ、アイパッチ(片目を覆う治療)は目の位置のずれの指標が改善したと報告しています。
  • 手術方法どうしの比較については、判断できるだけの根拠が足りないとしています。

注記:対象の多くは12か月〜10歳の子どもで、大人にそのまま当てはまるとは限りません。

乳児内斜視に対する治療介入(コクラン・システマティックレビュー)

コクラン・レビュー(複数の研究をまとめたもの)

Interventions for infantile esotropia. Cochrane Database Syst Rev 2023

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 乳児内斜視の治療を比べた研究2本(子ども合計234人)をまとめたレビューです。
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  • 手術はボツリヌス毒素の注射より成功した例が多い可能性があるが、根拠は非常に不確実だと報告しています。
  • 手術の種類や、いつ治療するのがよいかは、根拠不足で結論が出ていないと述べています。

注記:含まれた研究は南アフリカ、ドイツ・オランダで行われたもので、日本の診療とは条件が異なります。

小児の間欠性外斜視に対するオーバーマイナス(過矯正)眼鏡治療と、その後の近視化(3年追跡)

ランダム化比較試験(多施設・その後の追跡解析)

Refractive Error Change and Overminus Lens Therapy for Childhood Intermittent Exotropia. JAMA Ophthalmol 2024

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 過矯正の眼鏡を使う試験に参加した3〜10歳の子どもを、3年後まで追いかけた解析です(223人が継続)。
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  • 3年間の屈折の変化は過矯正群−0.74D、非過矯正群−0.44Dで、差が残っていたと報告しています。
  • 著者は、この近視化の可能性を保護者と話し合ったうえで検討すべきだと述べています。

注記:追跡に同意した人だけの解析です。D(ジオプター)は眼鏡の度数を表す単位です。

間欠性外斜視への手術以外の治療法の比較(システマティックレビュー・ネットワークメタ解析)

ネットワークメタ解析(複数の治療法をまとめて比べる方法)

Non-surgical therapy for intermittent exotropia: a systematic review and network analysis. BMC Ophthalmol 2024

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 間欠性外斜視への手術以外の4つの治療を比べた試験11本(合計1,411人)をまとめた解析です。
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  • 過矯正レンズは経過観察と比べ、目のずれや見え方の管理の指標が改善したと報告しています。
  • 4つのいずれも、近くを見るときの立体視には明らかな影響がなかったとしています。

注記:この論文は治療法を順位づけて示しています。どの治療が適するかは症状や年齢によって異なります。

斜視治療におけるボツリヌス毒素(コクラン・システマティックレビュー)

コクラン・レビュー(複数の研究をまとめたもの)

Botulinum toxin for the treatment of strabismus. Cochrane Database Syst Rev 2023

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • ボツリヌス毒素による治療を手術と比べた試験4本(合計242人)をまとめたレビューです。
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  • 手術のほうがずれの改善した人が多い可能性があるとしつつ、根拠の確かさは低いと報告しています。
  • 注射では一時的なまぶたの下がりなどが報告され、結論には研究の追加が必要としています。

注記:海外(スペイン・カナダ・南アフリカ)の研究で、日本の保険診療で受けられる治療とは異なる場合があります。

手術について

斜視手術のあとに再手術を受けた人の割合(1年・3年・5年後)

大規模な診療データベースの解析(米国・手術を受けた約12万6,000人)

Strabismus and Strabismus Surgery Reoperation Rates at 1, 3, and 5 Years: Analyses from the IRIS® Registry (Intelligent Research in Sight). Ophthalmology 2026

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 米国の眼科診療データベースで、斜視手術を受けた約12万6,000人を調べた解析です(2013〜2017年の手術)。
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  • 再手術を受けた人の割合は1年5.61%、3年8.53%、5年10.13%だったと報告しています。
  • 保険の種類や地域による差もみられ、著者は理由の解明は今後の課題だと述べています。

注記:米国の医療保険制度を前提とした集計で、日本の数値ではありません。この割合は特定の施設や術者の成績を示すものではありません。

心理社会的な理由で斜視手術を受けた成人が、その結果をどう受け止めたか

質的研究(成人13名への半構造化面接・術後平均12.2か月)

Patient perspectives on their outcomes from strabismus surgery undertaken for psychosocial reasons. Eye (Lond) 2024

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 心理社会的な理由で斜視手術を受けた英国の成人13名に面接した質的研究です。
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  • 手術から平均12.2か月後、見え方・作業のしやすさ・自信や感情の面での変化が語られたと報告しています。
  • 一方で、身体的な症状が悪化したという語りもあったとしています。

注記:13名の語りをまとめた研究で、手術の効果を測定・比較したものではありません。

こころと生活の質

斜視が心理社会的健康と生活の質(QOL)に与える影響(システマティックレビュー)

システマティックレビュー(複数の研究をまとめたもの)

The impact of strabismus on psychosocial health and quality of life: a systematic review. Surv Ophthalmol 2021

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 斜視が心理社会面や生活の質に与える影響について、これまでの文献を概観したレビューです。
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  • 見た目に対する周囲の否定的な受け止めや、自己像の悩みが指摘されていると述べています。
  • 著者は、斜視の治療は見た目だけの問題にとどまらない、との見解を示しています。

注記:単独の著者による概観で、数値をまとめて統合した解析ではありません。

近くを見る作業との関連(研究が続いているもの)

新型コロナ流行下の外出制限期に急性の内斜視を発症した15人で、近くを見る作業(スマートフォンなど)の時間を調べた研究

注記:この研究は15人を後から調べたもので、スマートフォンの使用が急性の内斜視の原因であると確かめたものではありません。近くを見る作業と急性の内斜視の関係については、現在も研究が続いています。

後ろ向きの観察研究(インド・単施設・15人/比較する対照群なし)

Acute acquired comitant esotropia precipitated by excessive near work during the COVID-19-induced home confinement. Indian J Ophthalmol 2022

要約(原文アブストラクトの範囲で、論文が述べている内容としてまとめたもの)

  • 新型コロナの外出制限の時期に、急に目が内側に寄る「急性内斜視」で受診した15人を、インドの1つの病院が後から調べた研究です。
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  • 15人の多くで、スマートフォンなど近くを見る作業の時間が長くなっていました。
  • ただし人数が少なく、比較する対象もいないため、近くを見る作業が原因かどうかは、この研究だけでは分かりません。
  • 急性内斜視は、急に物が二重に見えるなどで気づかれる内斜視です。原因を調べる検査や治療の考え方は、診察を担当する医師にご相談ください。
研究の種類によって、分かることの範囲は異なります。1つの施設だけで行われた研究は、結果が他の施設にもあてはまるとは限りません。

この調査結果の前提と注記

斜視手術件数 全国調査(2023–2025)/調査結果と施設の一覧。掲載内容は予告なく更新される場合があります。最終更新日:2026年11月4日

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