世界および地域別に見た斜視の有病率(システマティックレビュー・メタ解析)
Global and regional prevalence of strabismus: a comprehensive systematic review and meta-analysis. Strabismus 2019
本ページは、斜視に関する学術論文の紹介です。
Hashemi H, Pakzad R, Heydarian S、ほか/Strabismus/2019年/PMID 31012389/DOI 10.1080/09273972.2019.1604773
要約

原文の要旨に書かれている範囲で、論文が述べている内容を独自の言葉でまとめたものです(原文の翻訳ではありません)。
目的
世界全体および地域ごとの斜視の有病率(ある時点で斜視のある人の割合)を、年齢や性別のグループ別に推計し、あわせて研究ごとに結果がばらつく要因を調べたレビューです。著者は、斜視の有病率を包括的に扱った研究がそれまでなかったと述べています。
方法
複数の国際的な文献データベースを検索し、斜視全体・外斜視(目が外側にずれる)・内斜視(目が内側にずれる)の有病率を報告した論文を集め、ランダム効果モデルという方法で統合したと述べています。研究どうしのばらつき(異質性)と出版バイアス(結果の出た研究だけが発表される偏り)を検定し、ばらつきに影響する要因をメタ回帰という方法で調べています。
結果
7,980本の論文のうち56本(合計229,396人)が解析され、うち14本は米州地域からの研究だったと報告しています。統合した有病率は、斜視全体1.93%(95%信頼区間1.64〜2.21)、外斜視1.23%(1.00〜1.46)、内斜視0.77%(0.59〜0.95)でした。研究どうしのばらつきは95%を超えて非常に大きく、年齢が外斜視の有病率のばらつきに、世界保健機関の地域区分が斜視全体と内斜視のばらつきに、出版年が外斜視のばらつきに影響していたとし、出版バイアスは認められなかったと述べています。
結論
著者は、斜視の有病率は世界で大きく異なると述べ、世界的な有病率の情報は医療計画や資源配分を検討するうえで役立ちうるとしています。
注記(この研究の限界)
日本を含む各国の研究をまとめた推計で、日本国内の数値を示したものではありません。研究ごとに対象の年齢や診断の方法が異なり、著者自身がばらつきは非常に大きいと述べているため、統合した数値をそのまま特定の国や年代に当てはめることはできません。各国の診断基準や検査の体制は、日本の保険診療とは異なる場合があります。
用語の説明
- メタ解析
- 複数の研究の結果を統計的に一つにまとめ、全体としての推計値を出す方法です。
- 異質性
- まとめた研究どうしで結果がどれくらい食い違っているかを表す指標で、この研究では95%を超えて非常に大きかったとされています。
- 95%信頼区間
- 推計した値が統計的にどの範囲に収まりそうかを示す幅で、幅が狭いほど推計のぶれが小さいことを表します。
読むときの注意
このページは論文の内容を紹介するもので、研究の良し悪しを評価したものではありません。数字や結果は原文の要旨に書かれた範囲で紹介しており、個別の症状の診断や治療の判断は、診察を担当する医師にご相談ください。正確な内容は原文(PubMed/出版社ページ)でご確認ください。