新型コロナ流行下の外出制限期に急性の内斜視を発症した15人で、近くを見る作業(スマートフォンなど)の時間を調べた研究
Acute acquired comitant esotropia precipitated by excessive near work during the COVID-19-induced home confinement. Indian J Ophthalmol 2022
本ページは、斜視に関する学術論文の紹介です。
Neena R, Remya S, Anantharaman G/Indian journal of ophthalmology/2022年/PMID 35326055/DOI 10.4103/ijo.IJO_2813_21/論文の公開条件:CC BY-NC-SA 4.0
要約

原文の要旨に書かれている範囲で、論文が述べている内容を独自の言葉でまとめたものです(原文の翻訳ではありません)。
目的
新型コロナウイルス感染症による外出制限の状況で、若い大人と子どもに急性後天性共同性内斜視(急に目が内側に寄り、どの方向を見てもずれの角度がほぼ同じ内斜視)が起きた背景を調べることを目的とした研究です。
方法
南インドの1つの三次眼科医療機関の小児眼科・斜視部門に、2020年8月から2021年1月のあいだに急性発症の共同性内斜視で受診したすべての患者の記録を、後から調べた研究です。比較する対照群は置かれていません。
結果
15人のうち11人(73.3%)が10歳を超える学生で、平均年齢は16.8歳でした。12人(80%)は1日8時間を超える近くを見る作業をしており(平均8.6時間)、最も多かったのはオンライン授業で、次いで仕事、携帯電話のゲームで、86.7%が近くを見る作業にスマートフォンを使っていたと報告しています。内斜視の角度は平均で遠くを見るときに22.73プリズムジオプター、近くを見るときに18.73プリズムジオプターで、66.6%が遠視、33.3%が近視だったとしています。1人(発症前に発熱があった)を除き、持続的な近くを見る作業のほかに発症のきっかけとなる出来事はなかったと述べています。
結論
著者は、長時間の持続的な近くを見る作業、とくにスマートフォンでの作業の習慣が、急性後天性共同性内斜視の起こりやすさと関係している可能性を挙げています。ただし、この研究は15人の記録を後から調べたもので、比較する対照群がないため、近くを見る作業が原因かどうかはこの研究だけでは分かりません。
注記(この研究の限界)
この研究は15人を後から調べたもので、スマートフォンの使用が急性の内斜視の原因であると確かめたものではありません。近くを見る作業と急性の内斜視の関係については、現在も研究が続いています。インドの1つの施設で行われた研究で、受診の経路や診療の体制は日本の保険診療とは異なる場合があります。急性内斜視は、急に物が二重に見えるなどで気づかれる内斜視です。原因を調べる検査や治療の考え方は、診察を担当する医師にご相談ください。
用語の説明
- 急性後天性共同性内斜視
- それまで目がそろっていた人に急に内斜視が起こり、どの方向を見てもずれの角度がほぼ同じであるタイプの斜視です。
- 近業(近くを見る作業)
- 読書・スマートフォン・パソコンなど、近い距離のものを長く見続ける作業のことです。
- プリズムジオプター
- 目のずれの大きさを表す単位で、数が大きいほどずれが大きいことを表します。
読むときの注意
このページは論文の内容を紹介するもので、研究の良し悪しを評価したものではありません。数字や結果は原文の要旨に書かれた範囲で紹介しており、個別の症状の診断や治療の判断は、診察を担当する医師にご相談ください。正確な内容は原文(PubMed/出版社ページ)でご確認ください。