自宅の窓際で、父親が膝に赤ちゃんを乗せ、スマートフォンに残した写真を見返している

赤ちゃんの斜視はいつから?写真での見分け方と偽斜視

斜視について、症状・相談先・治療の選択肢・費用や手続きを一般向けに整理したコラムです。

スマートフォンで撮った写真を見返していて、赤ちゃんの目が内側に寄っているように見えた。そんなとき、いちばん知りたいのは「これは正常の範囲なのか」だと思います。赤ちゃんの目がずれて見える場合には、見かけだけのものと、実際に視線がずれているものがあります。この記事では、その二つの違いと、家庭の写真で見るときの目安を整理します。

  • 赤ちゃんは目頭の皮膚のせいで、寄り目に見えることがあります。
  • フラッシュ写真の反射光の位置は、家庭で気づくときの目安になります。
  • 乳児内斜視は生後6か月以内に発症する内斜視を指します。

赤ちゃんの目がずれて見える2つの場合(斜視と偽斜視)

斜視とは、右目と左目の視線が違う場所に向かっている状態のことです。ただし、赤ちゃんの目が寄って見えるからといって、そのすべてが斜視というわけではありません。実際には視線がそろっているのに斜視のように見える場合と、視線が本当にずれている場合があります。

赤ちゃんの顔を二つ並べ、左は目頭の皮膚で内側の白目が隠れている状態、右は黒目が内側に寄っている状態を示し、下に光の写り方を添えた図
目頭の皮膚で白目が隠れて見える場合と、黒目が内側に寄っている場合。フラッシュの反射光が両目の同じ位置にあるかどうかが目安になります。

見かけ上の斜視(偽斜視)

見かけ上は視線がそれていて斜視のように見えるものの、実際には両目の視線がそろっている状態を、偽斜視(ぎしゃし)といいます。赤ちゃんに多いのは、目頭の皮膚(内眼角贅皮=ないがんかくぜいひ)によって内側の白目が隠され、目が内側に寄っているような錯覚が生まれるものです。

本人は両目とも同じ場所を見ており、斜視ではありません。

乳児内斜視(生後6か月以内に始まる内斜視)

乳児(先天)内斜視は、生後6か月以内に発症した内斜視のことをいいます。ほとんどは生後1か月以降の発症です。原因については、遺伝、解剖学的な原因、筋肉の異常、神経系の異常など諸説がありますが、はっきりとはしていません。

右目と左目が交代で内側に寄る、目のずれの角度が大きい、といった特徴が知られています。偽斜視との区別は見た目だけでは難しく、眼科医でも判断に迷うことがあります。

写真で見るときのポイント

ここで紹介するのは、家庭で気づくための目安です。斜視かどうかの判定は、眼位ずれ(目の向きのずれ)の測定や、乳幼児のための視力表を用いた視力検査、屈折検査、眼球運動検査などを行う診察で判断されます。

フラッシュの光が両目の同じ位置に映っているか

フラッシュをたいてカメラ目線の写真を撮り、両目の黒目のなかの同じ位置にフラッシュの反射光が確認できれば、偽斜視の可能性が高くなります。ただし、光の反射だけでは正確な目の位置は分かりません。偽斜視と思われた赤ちゃんに、あとから調節性内斜視が見つかることもあります。気になるときは、写真を持って眼科で確かめてください。

顔の向きと撮り方

この目安が使えるのは、赤ちゃんがカメラを正面から見ている写真です。顔が横を向いていたり、視線がカメラから外れていたりする写真では、この目安は使えません。

撮るときは、正面から、赤ちゃんがカメラのほうを見た瞬間に、フラッシュをたいて撮ります。1枚で決めようとせず、日を変えて何枚か残しておくほうが、あとで役に立ちます。

保護者がスマートフォンを構える三つの場面を横に並べ、正面から撮る、フラッシュをたいて撮る、両目の同じ位置に光が映るか見る、という手順を示した図
家で写真を撮るときの3つのコツ。正面から、フラッシュをたいて撮り、両目の同じ位置に反射光が映っているかを見ます。

写真だけでは決められないこと

反射光の位置は、あくまで見かけ上のずれかどうかを推し量る材料の一つです。写真からは、目のずれの角度、ずれている時間の長さ、両目で見る力が育っているか、遠視や近視の度数といった情報は分かりません。偽斜視のように見えて実際にずれている場合も、その逆もあります。

家庭の写真は、判定のためではなく、気づいたことを伝えるための材料として持っていくと生きてきます。

月齢で見たときの目安

乳児内斜視は生後6か月以内に発症するものを指し、そのほとんどは生後1か月以降の発症です。

ずれがいつからあるのかは治療の考え方にも関わるため、生後すぐの写真が残っていると、発症の時期を確かめる手がかりになります。偽斜視との区別は見た目だけでは難しく、眼科医でも判断に迷うことがあります。

なお、遠視の眼鏡をかけると目のずれがなくなる調節性内斜視は、1歳6か月から3歳までの発症が最も多いとされる内斜視です。赤ちゃんの時期に何もなくても、その後に目のずれが出てくることがあります。

生後まもない赤ちゃんを抱く母親、生後半年ごろの座っている赤ちゃん、歩いている子どもと祖母を左から順に並べた図
発症の時期の目安。乳児内斜視は生後6か月以内に発症するもので、ほとんどは生後1か月以降です。調節性内斜視は1歳6か月から3歳までの発症が最も多いとされています。

乳幼児健診・3歳児健診で見ている項目

3歳児健康診査には視覚の検査が含まれます。流れは三つに分かれます。

  • 一次検査:家庭で行う視力検査とアンケートです。目のことで気になる点を記入します
  • 二次検査:市区町村の指定会場で行われます。問診と視力検査に加えて、オートレフラクトメータやフォトスクリーナー(目に光を当てて度数を測る機器)による屈折検査、両眼視機能の検査を併用することが望ましいとされています
  • 眼科精密検査:二次検査で要精密検査と判定された場合に行われます

一次検査は保護者が行うため、視力測定をマニュアルどおり正しく行い、結果をアンケート用紙に丁寧に記入することが大切とされています。一次・二次検査と初回の眼科精密検査までは公費で行われます。

乳児内斜視の治療でわかっていること

乳児内斜視では目のずれの角度が大きいため、目の向きをまっすぐにするには斜視手術が必要なことが多く、両眼視機能(両目で一つの像として見て、奥行きをとらえる働き)を得るには早期の手術が望ましいとされています。

一方、どの方法をいつ行うのがよいかについては、研究のまとめで異なる述べ方がされています。乳児内斜視への治療をまとめた系統的レビューでは、内直筋後転術(目を内側に向ける筋肉の付着位置をずらす手術)はボツリヌス毒素の注射のみと比べて治療が成功する頻度を高める可能性があるものの、その根拠は非常に不確実であると報告されています。また、両目に行う手術と片目に行う手術のあいだに重要な差は認められませんでした。著者らは、手術の種類、手術以外の方法、治療を行う年齢をめぐる議論は、根拠が十分でないため決着していないと述べています。乳児へのボツリヌス毒素の注射が日本でどう扱われているか(承認されている対象年齢など)は、診察を受ける医療機関で確認してください。

早期の手術が望ましいとされる一方で、治療を行う年齢や方法をめぐる議論は決着していない、というのが現時点の文献の姿です。「何歳までに何をすれば」という一律の答えは示されていないため、個々の方針は、目のずれの角度や両目で見る力の状態をふまえて、診察の場で相談することになります。

健診や診察のときに持っていくと役立つもの

次の3つを用意しておくと、状況が伝わりやすくなります。

  1. 正面から撮った写真:月齢ごとに数枚。生後すぐの写真は、いつから目のずれがあったかを確かめる材料になります。フラッシュをたいた写真があるとなおよいです
  2. 気づいた場面のメモ:寄って見えるのはどちらの目か、片方だけか交代するか、眠いときや近くを見るときに目立つか。気づいた時期も添えます
  3. 健診の書類と家族の目のこと:乳幼児健診・3歳児健診の記録と、家族に斜視や強い遠視の人がいるかどうか

この調査に回答した施設の一覧があります。回答していない施設にも斜視を診ている医療機関はあり、一覧は推薦ではありません。お住まいの地域の一覧はこちら(すべての医療機関は、厚生労働省の医療情報ネット(ナビイ)でも探せます)

よくある質問

赤ちゃんの寄り目は成長すると目立たなくなりますか

目頭の皮膚によって内側の白目が隠され、目が内側に寄っているような錯覚が生まれるのが偽斜視です。このとき本人は両目とも同じ場所を見ており、斜視ではありません。一方、視線が実際にずれている斜視は、見かけ上のものとは別のものです。本当の斜視と偽斜視の区別は眼科医でも困難なことがあり、検査で確かめられます。

写真のフラッシュで見分けられますか

両目の黒目のなかの同じ位置に反射光が確認できれば偽斜視の可能性が高い、という目安があります。ただしこれは正面を向いた写真でのみ使えるもので、目のずれの角度や両目で見る力までは分かりません。家庭で気づくための材料であり、判定は診察で行われます。ただし、光の反射だけでは正確な目の位置は分かりません。偽斜視と思われた赤ちゃんに、あとから調節性内斜視が見つかることもあります。気になるときは、写真を持って眼科で確かめてください。

乳児内斜視は何か月ごろから分かりますか

乳児(先天)内斜視は生後6か月以内に発症した内斜視を指し、ほとんどは生後1か月以降の発症です。偽斜視との区別は見た目だけでは難しいため、検査で確かめられます。

赤ちゃんの斜視は目薬や眼鏡で対応できますか

遠視の眼鏡をかけると目のずれがなくなる調節性内斜視という種類がありますが、これは1歳6か月から3歳までの発症が最も多いとされるものです。乳児内斜視は目のずれの角度が大きく、目の向きをまっすぐにするには手術が必要なことが多いとされています。どの方法が当てはまるかは検査の結果によって変わります。

参考にした資料

この調査結果の前提と注記

斜視手術件数 全国調査(2023–2025)/調査結果と施設の一覧。掲載内容は予告なく更新される場合があります。最終更新日:2026年11月4日

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