夜のダイニングで、女性がノートに鉛筆でメモを書きながら、手を止めて考えている。テーブルには湯のみと眼鏡ケース。

斜視の原因は?遺伝やスマホとの関係、子どもと大人で違うところ

斜視について、症状・相談先・治療の選択肢・費用や手続きを一般向けに整理したコラムです。

「どうして斜視になったのだろう」「親の自分から受け継いだのでは」「スマホやゲームのせいだったのかな」。斜視と言われたあと、原因が気になって調べ始める方は少なくないと思います。この記事では、両目の向きをそろえるしくみをもとに、子どもと大人で考えられる原因と、遺伝やスマートフォンとの関係について、いまわかっている範囲を整理します。

  • 斜視は、目を動かす筋肉や神経、遠視、視力、両目で見るしくみなど、両目の向きをそろえる働きのどこかがうまくいかないときに起こります。原因を一つに絞りきれないこともあります。
  • 子どもでは、生まれつきの要因や遠視、病気などによる見えにくさが、大人では、子どものころからの斜視のほか、年齢による変化や、筋肉や神経の病気などが考えられます。
  • 斜視は家族の中に多くみられる傾向がありますが、どのように受け継がれるのかは、まだはっきりわかっていません。スマートフォンなどとの関係も、関連が考えられている段階です。

両目の向きをそろえるしくみ

ふだん私たちは、見たいものに両目の視線を向けて、右目と左目で見た像を脳で一つにまとめています。このとき働いているのが、目を動かす筋肉(外眼筋〔がいがんきん〕)と、その筋肉に指令を伝える神経、そして両目からの像をまとめる脳です。さらに、ピントを合わせる力(調節〔ちょうせつ〕)や、それぞれの目の視力も、両目の向きがそろうことを支えています。

斜視は、このしくみのどこかがうまく働かず、片方の目が見たいものとは別の方向を向いている状態です。斜視の種類や名前は、斜視とは?内斜視・外斜視・上下斜視など、種類と名前の読み方で整理しています。

正面を向いた両目のまわりに、「目を動かす筋肉」「神経」「脳(像を一つにまとめる)」「ピントを合わせる力」「視力」の5枚の札を並べ、下に「このどこかがうまく働かないと、斜視が起こることがあります」と書いた図
両目の向きをそろえるしくみ。このどこかがうまく働かないと、斜視が起こることがあります。

斜視の原因は、はっきりしないことも多い

原因がはっきりわかる斜視がある一方で、詳しく調べても原因を一つに特定できない斜視も少なくありません。大人になってから気づいた斜視の中には、実は子どものころからあったものが含まれていることもあります。

原因がはっきりしないことは、診断や治療ができないということではありません。斜視の治療は、ずれの向きや大きさ、目の動き、視力などの検査の結果をもとに考えられます。

子どもの斜視で考えられる原因

生まれつきの要因

生後6か月以内に始まる内斜視を、乳児内斜視(にゅうじないしゃし)と呼びます。生まれつき、斜視になりやすい要因をもっていると考えられていますが、なぜ起こるのかは、まだはっきりしていません。赤ちゃんの斜視の見分け方や、斜視のように見えるだけの「偽斜視」については、赤ちゃんの斜視はいつから?写真での見分け方と偽斜視で整理しています。

遠視によるもの

遠視があると、近くを見るときに、ピントを合わせる力がふつうより強く働きます。ピントを合わせる働きと目を内側に寄せる働きは連動しているため、目が内側に寄りすぎて内斜視になることがあります。これを調節性内斜視(ちょうせつせいないしゃし)と呼び、遠視を矯正する眼鏡をかけることで目の位置が整うことがあります。

絵本を前にした同じ男の子の2つの場面。左は眼鏡をかけて両目がそろい、右は眼鏡を外すと片方の目が鼻の側へ寄る例
遠視のために目が内側に寄る調節性内斜視の例。左が眼鏡をかけているとき、右が外したときです。眼鏡で目の位置がどこまで整うかは、人によって異なります。

病気などによる見えにくさ

片目、または両目が、病気やけがのために見えにくいと、両目で見る働きが保てなくなり、目の位置がずれてくることがあります。乳幼児期に視力が出にくい場合は内斜視に、それより大きくなってからでは外斜視になることが多いとされています。斜視と弱視の関係は、斜視と弱視は別のもの。関係と、視力が育つ時期の目安にまとめています。

まれに、目の奥の病気や脳の病気など、ほかの病気が斜視の原因になっていることもあります。そのため、斜視の診察では、目の位置だけでなく、目の中の状態も調べられます。

大人の斜視で考えられる原因

子どものころからの斜視が、大人になって目立つ

子どものころからあった軽い斜視が、大人になってから目立ってくることがよくあります。ふだんは両目の向きをそろえられていた斜視が、年齢とともにそろえにくくなり、疲れたときなどにずれが出るようになって気づかれる、という形です。

年齢による目の周りの組織の変化

年齢を重ねると、目を動かす筋肉を支えている組織にも変化が起こります。この変化によって筋肉の通り道がずれ、遠くを見るときの内斜視や、上下のずれが起こるものを、サギングアイ症候群(さぎんぐあいしょうこうぐん)と呼びます。日本の1つの病院で、2020年から2022年に初めて受診した40歳以上の、両目で見たときに物が二重に見える199人を調べた研究では、原因として最も多かったのがサギングアイ症候群で、95人(47.7%)でした。

また、強い近視がある人では、大人になってから内斜視が起こることがあります。

目を動かす筋肉や、神経から筋肉への伝わりに関わる病気

甲状腺の病気にともなって起こる甲状腺眼症(こうじょうせんがんしょう)では、目を動かす筋肉が太くなるなどして、目が動きにくくなり、斜視が起こることがあります。また、重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)では、神経から筋肉へ指令が伝わりにくくなり、目の位置がずれることがあります。重症筋無力症では、時間帯や疲れ具合によって、ずれの大きさが変わることがあります。

目を動かす神経の働きが弱くなる

大人では、糖尿病、高血圧、脳の異常や頭のけがなどによって、目を動かす神経の働きが弱くなり、急に斜視が起こることがあります。このような斜視を麻痺性斜視(まひせいしゃし)と呼び、物が二重に見える(複視〔ふくし〕)ことで気づかれることが多いとされています。

日本弱視斜視学会は、急に物が二重に見えるようになったときは、命にかかわる病気が隠れていることもあるため、すぐに眼科を受診するよう呼びかけています。何科に行けばよいかは、斜視は何科?赤ちゃん・子ども・大人で違うのかで整理しています。

このほか、網膜剥離(もうまくはくり)の手術など目の手術や、副鼻腔(ふくびくう=鼻の奥の空洞)の手術のあとに、目の位置がずれることもあります。

左に「子どもで考えられること」として「生まれつきの要因」「遠視」「病気などによる見えにくさ」、右に「大人で考えられること」として「子どものころからの斜視」「年齢による組織の変化」「筋肉や神経の病気」を並べ、下に「原因がはっきりしないこともあります」と書いた図
子どもと大人で考えられる主な原因。原因がはっきりしないこともあります。

斜視は遺伝する?家族に斜視がある場合にわかっていること

斜視は、家族の中に多くみられる傾向があることが知られています。米国で、斜視の子どもの親を調べた研究では、検査を受けた母親303人の22.4%、父親178人の28.1%が斜視と診断され、ずれの型は親子で同じことが多かったとされています。これは斜視の子どもの親を調べた結果で、遺伝の仕組みを確かめたものではありません。日本の状況と異なる場合もあります。

どのように受け継がれるのかは、まだはっきりわかっていません。家族に斜視がある人が、みな斜視になるわけでもありません。斜視は、目の筋肉や神経、遠視、視力など、いくつもの要素が重なって起こるもので、家族に斜視があることだけで説明できるものではありません。

家族に同じような目のずれがある場合、その情報は、診察で伝えておくと状況が伝わりやすくなります。間欠性外斜視の家族の話は、間欠性外斜視とは。子どもの経過の見方と治療の選択肢でも紹介しています。

スマホやゲームは斜視の原因になる?

スマートフォンや携帯ゲームなどのデジタル機器が広まり、若い人が近くを見て作業をする時間が長くなっています。このことと、生後6か月以降に始まる内斜視の一つ「後天共同性内斜視(こうてんきょうどうせいないしゃし)」との関連が考えられています。

ただし、いまの段階では「関連が考えられている」ということです。スマートフォンとの関連から「スマホ内斜視」と呼ばれることもありますが、スマートフォンが原因だと決まったわけではありません。眼科の学会・団体は、近くを見る作業をするときの距離や休憩の取り方について提言を出しています。

原因を考えるために、診察で伝えると話が進みやすいこと

原因を考えるうえでは、ふだんの様子や、これまでの体の状態が手がかりになります。次のようなことを、あらかじめメモしておくと、診察のときに伝えやすくなります。

  1. いつから、どんなときに:気づいた時期と、ずれや二重に見えることが出やすい場面(疲れたとき、近くを見るとき、遠くを見るとき、夕方など)。急に始まったのか、少しずつかも添えます
  2. 写真や動画:ずれが出ている様子を正面から。子どものころの写真で、目の向きがわかるものがあれば役立つことがあります
  3. 家族の目のこと:家族に斜視や弱視、強い遠視のある人がいるか
  4. 体の状態と持病:糖尿病、高血圧、甲状腺の病気の有無、頭のけがの経験、飲んでいる薬
  5. これまでの目や鼻の手術:いつ、どんな手術を受けたか
  6. 眼鏡と視力:眼鏡やコンタクトレンズを使っているか、健診で視力について言われたことがあるか

この調査に回答した施設の一覧があります。回答していない施設にも斜視を診ている医療機関はあり、一覧は推薦ではありません。お住まいの地域の一覧はこちら(すべての医療機関は、厚生労働省の医療情報ネット(ナビイ)でも探せます)

よくある質問

親が斜視だと、子どもも斜視になりますか

斜視は家族の中に多くみられる傾向がありますが、親が斜視だからといって、子どもが必ず斜視になるわけではありません。どのように受け継がれるのかも、まだはっきりわかっていません。

スマホの使いすぎで斜視になりますか

デジタル機器の使用と、生後6か月以降に始まる内斜視の一つとの関連が考えられていますが、スマートフォンが斜視の原因だと決まったわけではありません。

大人になってから急に斜視になるのはなぜですか

大人では、糖尿病、高血圧、脳の異常や頭のけがなどで目を動かす神経の働きが弱くなり、急に斜視が起こることがあります。このほか、甲状腺眼症や重症筋無力症、年齢による目の周りの組織の変化などでも、大人になってから斜視が起こることがあります。

目の疲れが原因で斜視になりますか

疲れたときに、目のずれが出たり目立ったりすることはあります。たとえば、ときどき外側にずれる間欠性外斜視は、疲れているときや起きてすぐ、明るい屋外などでずれが出やすい斜視です。また、片目を隠したときにだけずれが現れる「斜位(しゃい)」は、わずかなものならほとんどの人にあり、斜視とは区別されます。

参考にした資料

この調査結果の前提と注記

斜視手術件数 全国調査(2023–2025)/調査結果と施設の一覧。掲載内容は予告なく更新される場合があります。最終更新日:2026年11月6日

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