クリニックの待合で、母親が書類を手に、隣に座る男の子へ話しかけている。窓の外に大きな病院の建物が見える

子どもの斜視、手術や通院は病院とクリニックで何が違う?

斜視について、症状・相談先・治療の選択肢・費用や手続きを一般向けに整理したコラムです。

健診で目のことを言われて眼科に行ったら、大きな病院への紹介状を渡された。あるいは、近所のクリニックと総合病院のどちらに行けばよいのか、最初から迷っている。子どもの斜視で医療機関を探し始めると、まずこの疑問にぶつかります。この記事では、種別ごとにどんな役割を担う場なのかを整理します。どこが良いかという話は扱いません。

  • 医療機関は、入院用のベッドの数によって病院と診療所に分かれます。
  • 紹介状を持たずに特定の病院を受診すると、一部負担金とは別に「特別の料金」がかかります。
  • 検査を受ける場と手術を受ける場が、別の医療機関になることがあります。

子どもの斜視に関わる医療機関は3つの種別に分けられる

医療法第1条の5では、入院用のベッド(病床)が20床以上ある医療機関を病院、19床以下または病床をもたないものを診療所と定めています。「クリニック」「医院」といった名称は制度上の区分ではなく、入院用のベッドの数で病院と診療所が分かれます。

子どもの斜視では、次の3つの場が関わることになります。

クリニック、総合病院・大学病院、こども病院の建物と人を横に3つ並べ、それぞれの役割を吹き出しで示した図
クリニック、総合病院・大学病院、こども病院の役割の違い。どこがよいという順位を示すものではありません。

眼科クリニック(診療所)

入院設備をもたない、または少ない病床で運営される医療機関です。通院しやすい場所にあることが多い種別です。斜視の診察では、片目ずつ隠して目の動きを見る遮閉試験(しゃへいしけん)のほか、視力や屈折(ピントの度数)の検査が行われます。健診で指摘されたあと、最初に目の状態を確かめる場になることが多い種別です。

定期的な経過観察や、眼鏡の処方後の確認のように、回数を重ねて通う場面でも、家や園・学校から近いことが実際の負担に効いてきます。

総合病院・大学病院の眼科

複数の診療科と病床をもつ医療機関です。眼科のなかでも斜視・弱視を扱う分野をもつところがあり、細かい検査や手術の検討はこうした医療機関で行われることがあります。

制度上の位置づけとして、医療法第4条の2により、高度の医療を提供する能力、高度の医療技術の開発・評価を行う能力、高度の医療に関する研修を行わせる能力などの要件に該当する病院は、厚生労働大臣の承認を得て特定機能病院と称することができます。また、医療法第4条により、他の病院や診療所から紹介された患者に医療を提供する体制、救急医療を提供する能力などの要件に該当する病院は、都道府県知事の承認を得て地域医療支援病院と称することができます。

こども病院(小児専門の医療機関)

小児を対象とする診療科をそろえた医療機関で、「こども病院」などの名称で呼ばれます。医療法上は、20人以上の患者を入院させるための施設があれば病院にあたります。

かかりつけから紹介される流れ

クリニックから病院へ、病院からまたクリニックへ。子どもの斜視では、一つの医療機関で完結せず、行き来しながら進むことが珍しくありません。

健診・かかりつけ、紹介状、病院での検査・手術、かかりつけでの経過観察の四つを矢印で円くつなぎ、中央に親子を置いた図
紹介の流れは一周する。健診・かかりつけから紹介状で病院へ、検査や手術のあとはかかりつけで経過をみる、という行き来です。

紹介状(診療情報提供書)の役割

紹介状は、次の医療機関に情報を引き継ぐための書類です。厚生労働省は、一部の病院に外来患者が集中して待ち時間や勤務医の外来負担などの課題が生じているとして、まずはお住まいの地域の医療機関を受診し、必要に応じて紹介を受けるなど、医療機関の機能・役割に応じた受診を呼びかけています。

制度の面でも、紹介状の有無で窓口の支払いが変わる場合があります。特定機能病院と、一般病床200床以上の地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関では、他の医療機関からの紹介なしに受診した場合、一部負担金とは別に「特別の料金」として初診は医科7,000円、再診は医科3,000円が定額負担の額とされています。再診でこの負担の対象になるのは、その病院が逆紹介の申出を行ったにもかかわらず受診した場合です。

検査や手術で医療機関が分かれることがある

入院を伴う医療は、病床をもつ医療機関で行われます。診療所は病床が19床以下、または病床をもたない医療機関にあたるため、ふだんの診察と経過観察はクリニック、入院を伴う医療は病院、というように場が分かれることがあります。

外斜視の手術では、もどり(術後に再び外斜視となること)がしばしばみられるとされ、手術のあとも経過を追う通院が続きます。その通院をどの医療機関で続けるかは、医療機関によって異なります。

通う場所を考えるときに確かめておきたい項目

次の3つは並列の項目で、優先順位をつけたものではありません。ご家庭の事情によって、どれが重く効くかは変わります。

三枚のカード。地図と自転車と電車、検査室に立つ視能訓練士、病室のベッドと付き添い用の簡易ベッドを並べた図
通う場所を考えるときに確かめておきたい項目。

通える距離と付き添いの負担

斜視の検査と経過観察は、一度で終わらず何度も続きます。園や学校を休む、保護者が仕事を調整する、きょうだいを預けるといった段取りが毎回必要になります。移動時間は、続けられるかどうかに直接効いてくる条件です。

視能訓練士の在籍

視能訓練士(しのうくんれんし)は、目の検査と、小児の弱視・斜視の視能矯正を担当する国家資格の専門職です。1971年(昭和46年)の視能訓練士法にもとづく資格で、乳幼児から高齢の方まで視機能の検査を担当します。ただし在籍の有無は医療機関の体制の話であり、診療の優劣を示すものではありません。

入院を伴う場合の付き添いのしくみ

入院を伴う場合、保護者が付き添えるか、付き添い者の寝具や食事はどうなるか、きょうだいの面会は可能かといった条件は医療機関ごとに異なります。手術そのものより、この前後の数日の段取りのほうが家族の負担として大きいこともあります。検討の早い段階で確かめておくと、予定が立てやすくなります。

手術を行う医療機関を都道府県から見つける方法

斜視の手術を行っているかどうかは、医療機関の種別だけで決まるわけではありません。

なお、手術の件数は、その医療機関の規模や地域で担っている役割を映すものであり、治療の質を示すものではありません。

この調査に回答した施設の一覧があります。回答していない施設にも斜視を診ている医療機関はあり、一覧は推薦ではありません。お住まいの地域の一覧はこちら(すべての医療機関は、厚生労働省の医療情報ネット(ナビイ)でも探せます)

医療機関に聞いておくと話が進みやすいこと

種別を調べるより、実際に通う形が想像できるかどうかのほうが、判断の材料になります。次の3つは、どの種別でも共通して聞ける項目です。

  1. 通院の見通し:次の受診までの間隔と、当面どのくらい続く見込みか。検査に毎回どのくらいの時間がかかるか
  2. 役割の分かれ方:この医療機関でできることと、別の医療機関に移ることになる場面。手術を検討する段階になったらどう進むか
  3. 入院と付き添い:入院が必要になる場合の日数、付き添いの可否と条件、きょうだいの同伴について

乳児内斜視への治療をまとめた系統的レビューでは、手術の型や治療を行う時期をめぐる議論について、根拠が不十分で結論を出せなかったと述べられています。進め方に幅があるということでもあるので、医療機関の説明を聞くときは、なぜその時期・その方法なのかを合わせて尋ねておくと、後から振り返りやすくなります。

よくある質問

病院と診療所はどこが違うのですか

医療法第1条の5により、20人以上の患者を入院させるための施設をもつものを病院、入院させるための施設をもたないものまたは19人以下の患者を入院させるための施設をもつものを診療所と定めています。「クリニック」「医院」といった名称は制度上の区分ではありません。

最初から大きな病院に行ったほうが早いですか

特定機能病院と、一般病床200床以上の地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関では、紹介状なしで受診した場合、一部負担金とは別に「特別の料金」がかかることとされています。制度としては、地域の医療機関で状態を確かめ、必要に応じて紹介を受ける流れが想定されています。

紹介状には何が書かれていますか

次の医療機関に情報を引き継ぐための書類です。紹介状がないまま特定機能病院や一般病床200床以上の地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関を受診すると、一部負担金とは別に「特別の料金」がかかります。書かれている内容は、渡してくれた医療機関に尋ねると確かめられます。

手術のあとも同じ医療機関に通いますか

医療機関によって異なります。外斜視の手術では、もどり(術後に再び外斜視となること)がしばしばみられるとされ、手術のあとも経過を追う通院が続きます。その通院をどこで続けるのかは、手術を検討する段階で確認しておくと予定が立てやすくなります。

参考にした資料

この調査結果の前提と注記

斜視手術件数 全国調査(2023–2025)/調査結果と施設の一覧。掲載内容は予告なく更新される場合があります。最終更新日:2026年11月4日

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